2020.05.09 16:50『悔恨の果てに』42020.5.10更新『悔恨の果てに』Ⅳ 〈【第十章】【第十一章】〉松下真美 【第十章】 十年ぶりの兄妹 ミリーが、アルデーヌとともに別荘近くの野原に着いたのは夕暮れだった。「この辺りから、中に行ける道があるの……」 ミリーが入口へ案内するとき、アルデーヌはずっと遠くにある別荘を見つめていた。 実は、別荘が目に入った途端、アルデーヌは体をこわばらせた。「どうしたの? アルデーヌ」 気づいたミリーが声を掛ける。「ミリー、ごめんね。あの建物を見ていると……。怖いの。あそこで怖い目に……。よく覚えてないんだけど……」 ミリーは、アルデーヌが怖い目に合っていることを、アルダークが聞いている。(たしか、アルダークさまの目の前で、連れ去られたって……。記憶の片...